Partner Success Blog: 株式会社キットアライブ 株式会社シナプスイノベーション - - AppExchange
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Partner Success Blog: 株式会社キットアライブ 株式会社シナプスイノベーション

Partner Success Blog:株式会社キットアライブ 株式会社シナプスイノベーション





2016年に北海道で設立され、Salesforceの専門家集団として多くの顧客のビジネスを成功へと導いてきたコンサルティングパートナー、株式会社キットアライブ。一方、大阪の老舗IT企業で、製造業向けのERPパッケージ導入で高いシェアを誇り、AppExchangeパートナーとして2021年にクラウド対応型新製品をリリースした株式会社シナプスイノベーション。Salesforceエコシステム内の協業によって大きな成果を上げている両社は、協業にあたってどんなことに取り組み、どんなメリットを実感しているのでしょうか。

株式会社キットアライブ 代表取締役社長の嘉屋雄大氏、並びに株式会社シナプスイノベーション 常務取締役 シナプスDX事業本部長 兼 SaaS事業部長の鈴木孝信氏、シナプスDX事業本部 SaaS事業部 マーケティング部 グループ長の桑野未緒氏にお話をうかがいました。



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両社とも、AppExchangeのビジネス・技術両面の優位性に惹かれてSalesforceパートナーに


――まずはキットアライブの嘉屋様から、ビジネスの概要とSalesforceパートナーとしての特長についてご解説ください。


嘉屋 当社は北海道札幌市に本社を置く、社員約60名のITベンチャーです。社員の9割を占める技術者全員がSalesforceエンジニアという会社で、Salesforceビジネスを専門に手がけています。社員の9割以上が北海道在住ですが、東京にも事業所を置き、現時点で17都道府県のお客様に対してSalesforceの導入支援などを行っています。コロナ禍以降、Web会議に対するお客様の抵抗感が減ったというのもあって、現在は47都道府県へのビジネス拡大を目指しています。

 コンサルティングパートナーとしての強みは、小さな会社ならではの小回りと機動力を活かしたプロジェクト遂行力です。中小企業のプロジェクトや、大企業のスタートアッププロジェクトなど、比較的小規模のプロジェクトを得意としています。


――続いてシナプスイノベーションの鈴木様と桑野様、同様に貴社のご解説をお願いします。

 

鈴木 当社は1984年設立で今年40期目を迎えた、製造業向けソフトウェアの開発やIT導入・活用支援などを行うソフトウェアメーカーです。社員は約200名で、大阪本社のほか、東京・名古屋・幕張にオフィスを構え、英国オックスフォードに開発・研究を目的とした子会社を有しています。

 事業は、従来から行っている、国産ERPパッケージ「GRANDIT」などを手がけるSI事業と、2021年に立ち上げたばかりの、私が担当するSaaS事業の2つです。このSaaS事業において、Salesforceの基盤を使った生産管理のAppExchangeアプリ「UM SaaS Cloud」を提供しています。

 当社は長年、製造業に特化したソリューションを提供してきたので、AppExchangeパートナーとしても、製造業に関する知見や製造業のお客様とのつながりが豊富であることを強みとしています。生産管理を中心とする業務システムという、Salesforceのコア製品や他のパートナー様の得意とするところとは少し異なる領域で事業を展開しています。


桑野 私はSaaS事業部のマーケティング部に所属し、主に「UM SaaS Cloud」のイベント出展やプロモーションなどのマーケティング活動を行っています。「UM SaaS Cloud」は2021年にリリースしたばかりですが、おかげさまですでに100社近くのお客様にご契約いただいています。


――Salesforceのパートナーとなった理由についてお聞かせください。

 

嘉屋 きっかけは15年ほど前、私自身がAppExchangeのビジネス・技術両面のすばらしさに惹かれたことでした。2007年頃、私は当時在籍していた札幌市のIT企業で新規事業の立ち上げに携わり、そのときにSalesforceと出会って、AppExchangeのモデルに感銘を受けたのです。アプリを展開するためのプラットフォームがすでにできあがっていて、どの会社で誰がインストールして使っているかがわかるというAppExchangeの仕組みは、実は私が新規事業でやりたいと考えながらうまくいかなかったものでした。

 これはもう確実に世の中に広がっていくと感じましたし、実際にその後、同社におけるSalesforce導入支援のビジネスは拡大していきました。それで2016年、そのビジネスを切り出す形でキットアライブを設立し、コンサルティングパートナーとしてSalesforceビジネスにずっと携わっていこうと決めたのです。


鈴木 当社は、製造業の生産管理で世界一を取ろう、を合言葉に、長年事業に取り組んできました。ただ、自社開発の生産管理パッケージ製品はあったものの、アプリを動かす基盤まで自社で構築するのは非常に難しい、ということをその開発の時に感じていました。とすれば今後、世界へ出ていくためになにが必要か。そう考えていたとき、Salesforceの基盤の優位性やAppExchangeの精度の高さを目の当たりにしたのです。これを利用すれば、基盤の構築というある意味余計なことに時間をかけず、本業のアプリの開発・販売に専念し、短期で製品を開発できると思いました。そこでSaaS事業を立ち上げ、AppExchangeパートナーとなることを決断しました。


――そうしてSalesforceパートナーとなった両社は、どういう経緯で協業を始めたのですか?


鈴木 立ち上げたばかりのSaaS事業部には、Salesforceの技術と経験を持つメンバーが当時少なかったこともあり、この事業を短時間で立ち上げる必要がある状況から AppExchangeの開発と導入に実績のある会社に相談するべきだと考えていました。そんな状況で、キットアライブさんに相談して支援していただけることとなりました。実は嘉屋さんとは、前職の頃から一緒にSalesforceビジネスに取り組んでいて、お互いに実力をよく知り、製品開発や販売のコンセプトを共有していたんです。それが協業のきっかけですね。


嘉屋 調べたところ、鈴木さんと名刺交換したのが2014年8月なので、来年で10周年ですね(笑)。


足りない部分を補い合い、1社では不可能なことを可能とする、理想的な「補完関係」


――具体的にどのような形でSalesforceビジネスの協業を進めているか、両社それぞれの視点からご解説ください。


鈴木 キットアライブさんの支援を受けながら社内でも開発者30名ほどの体制を整え、主要な機能は自社内で作れるようになりました。ただ、やはりまだ若い製品なので、課題や機能拡張への対応が継続して対応が必要ですし、またERPの特性上、お客様に使っていただくための支援やカスタマイズの作業が多いため、現状も社内だけでは要員が不足しています。

 そんな中でキットアライブさんは、この取り組みで培われた製造業や製品開発についてのノウハウを自社内で展開し、知見を有する方を当社の導入プロジェクトへどんどん送り出してくださいます。当社のビジネス拡張に合わせ、至るところで支援していただいているという関係です。


嘉屋 シナプスイノベーションさんの製品を使うお客様が増えるほど、当社の導入支援のビジネスも伸びていくわけですから、当社としても協業させていただけるのはとてもありがたいと思っています。いうなれば、Salesforceエコシステムの中にさらにもう1つ、「シナプスイノベーションさんのエコシステム」が構築されていて、当社はその中でビジネスを広げていける、というイメージです。


――協業にあたってどのような困難に直面し、それをどう乗り越えていきましたか?

 

嘉屋 当社はSalesforceを技術的にはよく知っていますし、さまざまなお客様のケースに合わせて導入を支援するノウハウも持っています。しかし、もともと当社に、生産管理の専門知識を持ち、シナプスイノベーションさんの製品や製造業の業務を完全に理解できるエンジニアがいたかというと、そうではありませんでした。そのため案件でご迷惑をおかけしたこともありましたし、鈴木さんをはじめとするシナプスイノベーションの皆様に多大なご支援をいただき、本当に助けていただいたと思っています。


鈴木 逆に当社の場合、業務系に通じたエンジニアはいるものの、Salesforceに精通しているのはその一部に限られていました。当然ながら、Salesforceの基盤で作られている「UM SaaS Cloud」は、Salesforceの技術力がないと効率的に導入できません。まさにその部分を、Salesforceの開発で実績が豊富なキットアライブさんに相談させていただいています。そういう補完関係を築けなければ、製品のリリースから2年で100社近くもの案件をさばくなど到底できなかった、と強く思います。


嘉屋 確かに、シナプスイノベーションさんとの協業において、「補完関係」という言葉はとてもしっくりきますね。


――パートナー様同士は競合する可能性もあるわけですが、そういう中での協業についてどのような意見を持っていますか?


鈴木 冒頭で少し触れたように、当社の製品は、Salesforceのコア製品や他の大半のパートナー様の製品とは基本的に異なる領域のものですし、Salesforceにつなげて使えるというコンセプトさえ守っていれば、他のパートナー様のSalesforceビジネスにとって競合になることはないと考えています。

 むしろ、当社の製品を入れると同時に、SFAとしてSalesforceを導入するような場合には、当社からキットアライブさんのようなパートナー様に依頼して、ジョイントプロジェクトのような形で進めることができます。そういう意味で当社は、競合というより協業の相手と見られることが多いと思っていますが、嘉屋さんから見ていかがですか?


嘉屋 おっしゃる通りだと思います。先ほど「エコシステムの中のエコシステム」という話をしましたが、シナプスイノベーションさんは、市場を広げているSalesforceエコシステムの中に独自のエコシステムを構築し、製造業のホワイトスペースをどんどん埋めていっている。狭い市場を多くの会社で狙おうとするから競合になるのであって、ホワイトスペースを塗りつぶしていくやり方なら競合になりにくく、パートナー同士で手を組んだほうがやりやすい。そのようにSalesforceエコシステムの中は、基本的に競合になりづらい環境になっていると思います。


鈴木 コロナ禍でWeb会議をしやすくなったとはいえ、やはり製造業の場合、お客様を直接訪問しないと商談を獲得できませんし、定期的に現地で作業することも求められます。そういう面において、キットアライブさんのように地域で活動されているパートナー様の存在は、当社にとって本当に貴重です。


桑野 マーケティングの視点からいっても、やはり1社でできることは限られているので、キットアライブさんのようなパートナー様との協業は欠かせませんし、エコシステムがさらに広がるといいなと思っています。


嘉屋 特に当社のような小さな会社には、できることは多くありません。たとえば大企業のように、ビジネスの領域を広げるためにM&Aを進めようとしても時間がかかります。しかし、パートナー様との協業で足りない部分を補完し合えば、1社だけではできないことに進出できます。


鈴木 そうですね。それで当社は今、コンサルティングパートナー様だけでなく、AppExchangeパートナー様との協業も進めています。たとえば、他のAppExchangeパートナー様のツール系の製品には、製造業に合う特色を出せないものが多いので、当社の製品と併せて販売することで業種色を打ち出し、ビジネスを拡大することができます。

 同様にコンサルティングパートナー様も、得意な分野や地域はそれぞれ異なるでしょうから、競合として戦うのではなく、お互いの特性を理解して手を組むことで、ビジネスを伸ばしていけるのではないでしょうか。


「三方よし」を実現する緊密なコミュニケーションで新製品リリースまでの期間が半分以下に


――協業によって、具体的にどのような成果が出ていますか?


鈴木 一番強く感じているのは、やはり「UM SaaS Cloud」の企画からリリースまでが本当に早かったことですね。通常、業務システムの開発には年単位でかかるのに、その半分以下、半年ぐらいでリリースできました。当社のメンバーだけだったら、おそらくここまで早く立ち上げられなかったでしょう。

 こうした製品はお客様の反応がすべてなので、とにかく最低限使える製品ができたらリリースして、市場の声を聞きながら改修を繰り返していく。キットアライブさんが、当社のそういう計画に付き合ってくださったからこそ生まれた成果だと思っています。


嘉屋 実は、そうしたMVP(実用最小限の価値を提供できるプロダクト)と呼ばれる考え方は、当社のようなエンジニアの会社には持ちづらいのです。エンジニアというのは基本的にまじめで、少し足りない状態の製品を世に出すことに対し、どうしても気持ち悪いという感覚を抱いてしまう。それで、ビジネスパーソンからすれば、なぜそこに工数を費やすのかが理解できないような部分を作り込んでしまいがちです。

 しかし、鈴木さんがおっしゃったように、答えはお客様が知っていて、製品を世に出してこそニーズが見えてくる。このビジネスで大切なことを教えていただき、私たちもそれに対応できるようになったことは、当社にとっての協業の大きな成果の1つです。


――協業を成功させるポイントとして、どのようなことを重視していますか?


嘉屋 やはりコミュニケーションです。当社は北海道の企業なので、他のパートナー様と直接会う機会は少ないですが、Web会議で話したりする機会が多いほど、協業のプロジェクトが成功する確率は上がります。緊密にコミュニケーションを取り、お客様のご要望の微妙なニュアンスをくみ取ってパートナー間で共有することがなにより大切だと思っています。


鈴木 当社は、社是として「三方よし」を掲げています。本来は、お客様・社会・当社の三方ですが、パートナービジネスに置き換えて考えると、お客様・パートナー様・当社の「三方」それぞれに利益がなければ、決してうまくいかないということです。パートナー同士というのは、単なる発注側・受注側という関係ではなく、ビジネスの内容や相手にとってのメリットをお互いに理解し、相手にもモチベーションを持って取り組んでもらえるよう意識しなければ、いい仕事はできません。パートナー様のことを常に考え、その事情になるべく寄り添うという協業のあり方に沿って行動しているつもりです。


――両社がエコシステム拡大にあたって力を入れているという、Salesforce人材の育成についてお聞かせください。


嘉屋 今はどのIT企業も人手不足ですが、中でも北海道は顕著で、東京でも少ないといわれているSalesforceエンジニアがさらに少ないのが実情です。中途採用は難しく、地場で新卒を含む優秀な若手を採って育成する、ということが必須になっています。

 そこで当社では、4か月間の新人研修でITの基礎から教え、Salesforce人材を育てています。ただ、エンジニアとして成長するには、会社から与えられるものだけでは足りず、自分で勉強したり手を動かしたりすることが欠かせません。そのため、残業時間を年間60時間まで使って勉強できる、「もっとアライブ」という社名をもじった制度を設けています。


桑野 Salesforce人材の採用が難しいのは当社も同様です。そのため当社は、SalesforceのTrailhead上で「UM SaaS Cloud」について勉強できる、「UMlearning」というコンテンツを作成し、社員教育に利用しているほか、お客様やパートナー様にも使っていただいています。


鈴木 入社後の教育コンテンツがある程度充実しているので、ITより、むしろ当社の強みである製造業のノウハウを持つ方に入社してもらい、Salesforceや「UM SaaS Cloud」の教育を行うという活動にも取り組んでいます。そして、先輩と一緒に現場へ出て学んで、なるべく早く独り立ちしてもらう。ある意味ではハードな教育をしています(笑)。


嘉屋 ハードなのは当社も同じで(笑)、25~26歳の若手でもリーダーとしてお客様と直接対峙する経験をどんどん積ませる、という空気を社全体で醸成しています。もちろん大変な中でプロジェクトを進めるわけですが、リーダーとして小さな案件を年に3つ4つこなしていくことで、通常より早く成長できるというのはあると思っています。


――最後に、今後のビジネス展開について考えていることをお聞かせください。


嘉屋 北海道を中心にSalesforceと「UM SaaS Cloud」をもっと広げていきたいと考えています。北海道をはじめとする首都圏以外の地域は、ビジネス的にいうとそれこそホワイトスペースで、いくらでもやりようがある状況です。レガシーシステムの焼き直しにお金を使い、収益を上げるところへの投資が進まない、という会社がまだまだ多い地方の状況を改善していかなければ、日本は沈没してしまうと思います。当社は、Salesforceやパートナーの皆様と一緒に取り組めば、それを防ぐことができると考えています。


鈴木 現状、日本には、当社の製品以外、SaaSとして提供されている本格的な生産管理のソリューションがほぼありません。そのため、優位に戦えている現状を活かしてホワイトスペースをどんどん埋めていきたい。当社の製品が導入されることで、逆にSalesforceを入れてもらいやすくなるというのもありますので、その部分でも尽力したいと思っています。

 そのためには、地方のパートナー様との協業が本当に重要になるので、キットアライブさんに続くようなパートナー様をどんどん増やしていきたい。そして、早ければ今年度中に、日本の製造業ブランドとSalesforceを引っさげ、世界へ向けてビジネスを展開していきたいと思っています。


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