[事例:TKP] TKPの"攻めの経営"を支えるデジタル基盤 -AppExchangeによりワンプラットフォームの業務システム構築が可能に- - - AppExchange
ナビゲーションにスキップメインコンテンツにスキップ

[事例:TKP] TKPの"攻めの経営"を支えるデジタル基盤 -AppExchangeによりワンプラットフォームの業務システム構築が可能に-

 

株式会社ティーケーピー(以下、TKP)は、2005年の設立。国内の貸会議室事業をトップランナーとして牽引する存在です。会議室・レンタルオフィス関連の備品、ケータリング、宿泊手配など一手に引き受けるなど、貸会議室を中心に事業の多角化も進め、デジタルを活用した新たな取り組みに乗り出しました。Salesforceを中心に加速する同社のDXについて、TKP 業務統括部 課長 山根 賢一氏に話を聞きました。本記事は2022年7月22日に開催した「Salesforce AppExchange Summit 2022」で講演された内容を記事化しています。






継続的な成長戦略のための「TKPイノベーションロードマップ」


――まず、御社のビジネスの現状について教えてください。


私たちは、積極的な出店とM&Aを駆使した周辺事業の拡張により、大きく事業を育ててきました。貸会議室も、事業拠点も、そして人もどんどんと増やして、長らくアナログ・人海戦術で対応し、売上利益を伸ばしていきました。

すでに、昔のようにただ会議室という箱を貸すだけの会社ではありません。コロナで打撃を受けましたが、アフターコロナの方向性が見え始めたいま、今後回復してくる需要を全方向から刈り取るにあたって、3つの戦略が大切だと考えています。まずは、ビジネスの根幹である仕入れ戦略。次に、リアルでもオンラインでも顧客ニーズにこたえ続ける営業戦略。最後に、デジタル戦略です。



――デジタル戦略の特色はどんなところにありますか。


Salesforceをワンプラットフォームとして進めている点で、この部分は出店戦略と営業戦略の基盤になる部分です。プロジェクトの着手は、2021年10月で、2022年7月に「TKPイノベーションロードマップ」として発表しました。


ざっと流れについて紹介します。フェーズは3段階で、第1フェーズは業務システムの刷新になります。そのために、2022年2月より、先行して営業部門向けにSFAを稼働させ、実際に使いながら慣れてもらっています。現在は、今年度中に会議室の予約管理システムとCRM領域のデジタル化プロジェクトを進行中です。


フェーズ2は、お客様に会議室予約台帳を公開して、セルフサービスで会議室を予約していただける顧客ポータルのリリースを予定しています。お客様が予約を自分たちで利用できるようになれば、我々の対応工数が減るようになります。コストの大半が家賃と人件費で構成されるTKPでは、削減した人件費を販売価格に反映させようと考えております。ダイナミックプライシングという貸会議室業界では誰も成しえたたことのないプライシング戦略にチャレンジし、よりリーズナブルで便利なTKPに生まれ変わっていく計画です。


続くフェーズ3は、データドリブンな経営の実現を目指します。会議室利用データ、Web行動データ、コミュニケーション履歴といったお客様データに加え、不動産相場の市況レポートなど外部のデータも使って、収支分析の高度化も可能にします。


これらは、すべてSalesforceという1つのプラットフォームで完結させます。これまでいくつかのシステムを使ってきましたが、すべてを刷新していきます。




AppExchangeがあったからこそ様々な業務をワンプラットフォームで行うことができた


――AppExchangeアプリの導入も検討されたということなんですが、具体的にはどういった背景があったのでしょうか。


我々が業務システムを刷新していく上で、複数のシステムを連携させるのではなく、ワンプラットフォーム上ですべての業務を完結させるべきだ!との提案を受け、それを採用しました。

超アナログと言われる貸し会議室業界の中で、システムにおける様々な課題があったのですが、AppExchangeを織り交ぜて我々が抱えていた問題が解消されて、非常にありがたがっております。AppExchangeは、Salesforceのプラットフォーム上で稼働し、業務に不可欠なアプリケーションを選択することができます。私たちは、5つのアプリを使って、Salesforceの機能を強化し、当初悩んでいた問題を解決することができました。


――Salesforceの活用に当たってAppExchangeをご利用いただいているとのことですが、具体的なアプリについて教えてください。


まず、Raysheetについてお話します。私たちのビジネスの特徴は、商談数の多さかもしれません。「23,593」という数字は何を表しているかわかりますか?実はこれ、当社がSalesforce導入3ヶ月で新規作成された商談のレコード数です。1人の営業担当者が、月間30~40件の新規案件を起票します。1件の予約を1つの案件とカウントし、全国に200人の営業担当者と間接部門で働く担当者の合計300人が、その案件処理にかかわっています。そのためその案件処理に忙殺されて営業に出る時間が無い、フェーズ管理もままならないという課題がありました。それにあたって、SFAの入力・メンテナンス工数の削減は至上命題となっていました。


それを解決してくれたのが、Raysheetです。これを使えば、Excelライクなユーザーインタフェースで複数のレコードを一覧できます。レコードの作成・編集も一覧画面で行えますし、一括編集も可能です。気になるレコードがあれば、それにひも付くChatterに飛ぶこともできますし、親子関係にあるオブジェクトを1つの画面で閲覧しながら編集することもできます。


これがなければ私たちのSFAの活用は成り立たないと言えるほど、まさに必需品になっています。



――uSonar&名刺ソナーも活用されているそうですね。


貸会議室は、あらゆる業界の、あらゆる部署の、あらゆる役職の方々にご利用いただくものです。私たちも年間、延べ数万社の企業・団体の方々にご利用いただいている中で顧客データベースの精度を維持し続けるための課題も存在します。既存取引先を新規登録してしまうこともありますし、移転や合併、分社化なども起こります。そうしたときに、過去の商談や取引先責任者=顧客担当者が見つからなくなってしまうケースも想定されます。


その対策として採用したのが、uSonar、SideSonar、名刺ソナーです。日本最大の法人データベース数で、Salesforceとの協調動作も完璧です。Salesforceに新規登録する取引先にLBCという企業コードを自動付与してくれる機能は便利で、企業名の表記ゆれに高精度な示唆をくれることもあります。重複防止/社名、住所変更対応に役立ち、顧客データベースをきれいな状態に保ってくれる優れたアシスタントです。


営業活動を後押しする便利機能も備えています。わかりやすいシナリオやストーリーに基づいたリスト作成、企業の属性情報確認が可能ですし、Webサイトにタグを埋め込んでおくと、お客様が自社Webサイトに訪問いただいている状況を把握することもできます。これらの機能を使って、たとえばお客様のWebサイト閲覧状況からDMの結果を確認してアクションするなどの施策を打つことができます。営業マネージャーを中心に好評な機能になっています。



――業務の自動化という意味で現在利用中のアプリもありますか。


AUTORO(旧Robotic Crowd)を活用しています。当社の貸会議室は、さまざまなお客様に日々ご利用いただいていますが、新規のお客様や大型案件の与信に時間がかかるという課題がありました。これまでは個別に営業担当者が与信申請し、管理部門がアナログで調べることで、与信金額を判定するフローでした。判定までの時間はかかりますし、工数がかかるため管理部門のコア業務を圧迫してしまいます。また、判断基準の平準化という課題も潜在的に抱えていました。


そこで、与信のためのシステム/データベースを置き、格付けと信用限度額を返すフローにRPAを使えばよいのではないかとひらめいたのです。RPAにAUTOROを採用したことで、このフローが完全に自動化できました。営業担当者は申請した瞬間に与信結果を得ることができ、管理部門はよりコアな業務に集中することができます。


これは、フェーズ2でその効果を最大限に高めてくれるでしょう。会議室予約のセルフサービス化にあたって、お客様を与信でお待たせすることがなくなりますから。



――そのほかにご利用されているアプリで特徴的なものはありますか。


販売管理としてソアスクが役に立っています。元々の業務システムはスクラッチで開発されており、予約管理と販売管理を一体化させていました。が、急激な事業成長のスピードに対応しきれず、アナログで対応せざるを得ないシチュエーションがいくつもありました。


例えば、全国の会議室を一斉に利用するような案件や、長期の契約になると、料金体系が変わってくるのですが、大量に会議室を利用する案件になると綺麗な見積もりを作るために営業はエクセルで手作りのクラフト見積書を作成し、お客様に提示していたんです。


また、管理部門の請求・入金管理においても効率的な締め作業を実現するためにWordで手作りのクラフト請求書を作成して管理する状態でした。

これまでは何とか人海戦術で綱渡りをしてきたわけですが、ダブルブッキングや請求ミスなどのリスクもあるため、これは早急に見直したいフローでした。


ソアスクは、本来はサブスクリプション型のストックビジネスに強みを持つアプリケーションですが、その柔軟性を応用してフロー型である貸会議室の販売管理に対応することができました。

また、オプロアーツによる帳票ソリューションもレイアウトの自由が利くので、来るインボイス制度に対応しながら、貸会議室・イベントホールならではの必要な情報をレイアウトできる点を非常に重宝しています。


このソアスクも、AUTOROと同じく、フェーズ2で最大の成果を得られそうです。顧客ポータルでは、お客様がマイページ上で予約し、自ら見積書/請求書を取得することになります。この要件を考えても、販売管理機能がSalesforce上で動く価値は計り知れません。



私たちが利用しているAppExchangeはこれら5つで、Salesforceとその周辺のシステム鳥観図を書くと、ロードマップの最終形はこのような形になるかなと思います。左側がビジネスサイド、右側が会計サイド、したが経営サイドが使っていく領域になってきます。

ビックデータに近い基幹システムのデータを、不動産相場をはじめとした市況データをBIツールで統合可視化し、データドリブンで効率的な経営を実現できればと思っております。





SalesforceとAppExchangeは「iPhoneとアプリの関係に似ている」


――Salesforceを活用するにあたって、AppExchangeを使うメリットはどこにあると考えていますか。


Salesforceの方から、初めてAppExchangeのことを教えてもらったときに、iPhoneとアプリの関係に似ているなと感じました。やりたいことがあれば、課題に対して適切なソリューション=アプリを探して導入するという感覚です。自社の実態に最適なサービスを、複数の魅力的なラインアップの中から選べるという点は、大きな魅力です。


私たちは一時、コロナで大きなピンチに陥りました。しかし、そのまさにピンチの渦中に、DXという事業変革のチャンスをつかむことができました。アナログな貸会議室業界において、AppExchangeなくしてはワンプラットフォームで業務システムを構築するのは不可能だったと考えています。これからも改革を進める中で、新たに生まれるニーズを充たしてくれるアプリが出てくるでしょう。今後も、試行錯誤しながら、最適なアプリを発見し、Salesforceを中心とするDXを加速させていきたいと考えています。



使用アプリ一覧






最近の記事