[事例:カインズ]魅力は"スピード感"。ほしい機能は「作るより探す」 - - AppExchange
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[事例:カインズ]魅力は"スピード感"。ほしい機能は「作るより探す」

 

株式会社カインズ(以下、カインズ)は、創業から30年を経て“IT小売企業になる”というメッセージを前面に打ち出しました。Salesforceを基盤にさまざまなAppExchangeアプリを活用。DX施策を推進し、大きな改革に取り組んでいます。このブログでは、同社 執行役員 CDO(チーフデジタルオフィサー)兼 CMO(チーフマーケティングオフィサー)兼 デジタル戦略本部長 池照 直樹氏が2021年8月27日に開催した「Salesforce AppExchange Summit 2021」で講演された内容をレポートします。

お金にならない部分には手をかけない

カインズは今年、2019年度からスタートした中期経営計画「PROJECT KINDNESS」の最終年度を迎えました。デジタル戦略を1つの柱に据えるこの計画において、池照氏のチームは、「お客様のわずらわしさを解消し、エモーショナルな体験を創造するデジタル戦略」をテーマとしてさまざまな改革に乗り出しています。

池照氏は、「デジタルマーケティングにしてもシステム開発にしても、お金にならない部分には手をかけません。「お金になる」部分というのは、多くの社員やお客様をサポートできるという意味です。きちんと費用対効果を検証してデジタル化を進めることが大切で、それによってデジタルの価値を組織に浸透させやすくなります」と話します。

 

デジタルへの取り組みは多角的に進め、短期間で次々と新しいサービスを立ち上げました。カインズはオリジナルブランドが強く、コアなファン層を抱えていることもあり、ユーザーの声を集めやすいことは大きなメリットです。お客様のニーズを吸い上げ、それぞれの機能やコンテンツの強化もスピーディに実施。中核となるスマホアプリの会員数は2021年4月に200万人を突破しました。

8割完成でリリース、その後に改善

池照氏は、「当初は採用が大変でした。“ホームセンターのカインズがどうしてITなの?”と疑問を感じる候補者が多くて(笑)。本気でやろうとしていることを伝えて、優秀な人材をそろえることができました」と話します。システム開発のほとんどは、機動性を重視して社員が実施します。そして、厳密に要件定義をせずにアジャイルで進める開発が大半を占めています。

「Salesforceは顧客システムを支えるバックボーンとして活用しています。魅力は、すぐに作れること。基本機能だけを活用して8割ほどでリリースし、その後に話し合いながら完成に向けて、改善を続けるようにしています」(池照氏)

AppExchangeも積極的に活用しています。今回のセミナーで紹介されたのは、以下の4つです。それぞれについて紹介します。

・Flosum

カインズでは、数多くのプロジェクトを平行して走らせています。そうなると、重複が発生するリスクが高まります。複数の開発チームが実装しようとしている新機能の差分を把握し、重複が発生した際にきれいにそれをマージすることで、齟齬のない安定したリリースを図ります。Flosumは、そのために欠かせないツールになっています。

・SVF Cloud for Salesforce

SVF Cloudそのものは帳票作成ツールですが、カインズではこれをFAX発注プロセスに活用しています。社内のデジタル化は進んでいますが、まだFAX主体の取引先が多いため、業務上そうしたプロセスもSalesforceを中心とするデジタルの世界に取り込むことで全体最適を図れます。FAXだけでなく、同社の手掛ける住宅のリフォーム事業において、工務店との図面のやり取りなどに活用するなど、“デジタル化されていない顧客やパートナーとのやり取り”をすべてSalesforceで管理することに役立てています。

・RaySheet

リフォームのカウンターで使用しています。たとえば、リフォームのプロセスでは注文明細書の作成時に、たとえば長さの違う木材のような“類似した商材”が大量に並ぶことがあるのですが、それらを効率的に入力するために有効なアプリです。商談段階でExcelを使うこともまだ多く、それをそのままコピーすれば、手軽にSalesforceに取り込むこともできます。Excelライクな直感的なユーザーインタフェースで、現場ユーザーからの評判は極めて良いです。

・WalkMe Embedded

WalkMeは入力ガイドの役割を果たしてくれるツールです。カインズではそれを一歩進めてUXの改善機能と位置づけて活用しています。Salesforceの標準フォームは可能な限りカスタマイズせず、WalkMeで徹底的にガイドします。柔軟で変更も容易なため、フォームの挙動について改善要望があれば、即座に対応することもでき、現場ユーザーとデジタル戦略部門とのコミュニケーションを活発化するインタフェースにもなっています。

 汎用性の高いツールで迅速に進める

池照氏は、「作るより探す」という発想でAppExchangeを利用するようにチームメンバーに周知しています。Salesforceの価値は、その周囲にあるエコシステムを利用することで、さらに高まると考えているためです。

池照氏は、「探して発見できるものは、一般化されているものと言い換えることもできます。そうした汎用性の高いものを使って、UXを改善していくことが最も迅速に進められるやり方。作ることももちろん大切なのですが、私はAppExchangeのような仕組みをより重視したいですね」と話してくれました。

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